カシコレラ

高校教員を早期退職。「人生は実験だ」を合言葉に妻と信州に移住。 農・DIY・お金稼ぎの経験皆無の凡人が自給的暮らしを探求中。気ままにあれやこれや投稿。ひととひと、農と環境と教育をつなぐ「虹色ラボ」、真に持続可能な暮らしと生き方研究所「いっさ」主宰。

できるだけ突拍子もないアイディアを ~ムハマド・ユヌスさんへのインタヴュー~

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今日届いたばかりのビッグイッシュー。
スペシャル・インタヴューは、ムハマド・ユヌスさん。
貧困層の人々の自立支援のため「マイクロクレジット(無担保少額融資)」という仕組みをバングラディッシュで生み出し、世界中に普及させた人物。
僕が近現代史の授業を行なう際、必ず紹介していた人物のひとりだ。

 * その他、H.D.ソロー、ガンディー、パブロ・カザルズ、浅川巧、杉原千畝、村本一生など

全文を熟読してもらいたいところだが、インタヴューの後半部分を紹介してみる。
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◆「貧困は人権の否定だ」と言うユヌスさん。そのことに関連して次のように語っている。


根本的な問題は、貧しい人たちが貧困を生み出したのではないということです。彼らは富の一極集中という、人間が創り出した歪なシステムの犠牲者なのです。

人間から富を引きはがすような現在のシステムは、破滅寸前とも言える状態にある。

「みんながクリエイティブに活動するチャンスを持てるようなシステムに作り替えましょうよ。人間はただ仕事を探すだけの労働者ではなく、自分で仕事を創る起業家になりうるのに、世界が人間を労働者になるよう調教しているのです。


◆ 現在、従来の経済システム下で生じた地球温暖化、貧富の格差、失業問題などが、コロナ禍により顕在化し、世界は行き詰まりを見せている。
「コロナ禍で学んだことを今後どう生かすべきか?」という質問に対して、ユヌスさんは次のようなことを述べている。


現在、世界中で多くの人が職を失い、収入を絶たれ、食料すら失い、生きるためにもがき苦しんでいる一方で、一握りの富裕層はさらに富を増やしている。このような二極化した世界はおかしな世界であり、二極化ではない世界を創る必要がある。また、地球温暖化の進行を止めるために残された時間はあとわずかしかない。
今は、従来の経済システムが生み出したあらゆる負の側面が見えている。それなのに、どの国も、どの会社も、コロナ禍以前の時代に戻ろうとしている。なぜ、以前に戻ろうとするのだろう?戻る価値などあるのだろうか?


◆ そして、ユヌスさんは、次のように語る。

最善の決断は、後戻りしないこと。その1点に尽きます。いま私たちが進むべきは、もっと別の世界、二酸化炭素排出ゼロ、(貧困ゼロのための)富の集中ゼロ、そして失業者ゼロの『3ゼロ』世界です。

◆ さらに、今後の世界を担う若者にアドバイスが続く。

若い人たちに言いたいことは『身の回りのあらゆる問題は、私たちの思考が作り上げたものなのだ』ということです。私たちのものの見方が、現実の世界を創りだしているのですから、違う考え方をすれば、世界は違ったものになるでしょう。思考は行動へとつながります。だから何をどう考えるのかがとても大切。若い人たちには、できるだけ突拍子もないアイディアを思い描いてほしいのです。現実的ではない、などと思ってはいけません。イマジネーションの敵は、非現実的だと思ってしまうことですからね。

「現在私たちの周りにあるもののほとんどが、20年か30年前にはサイエンス・フィクションの中の出来事でした。科学的な発展はどれも、最初に想像した人がいたらからこそ、今こうやって現実のものとなっている。」

「ですから、これからはソーシャル・フィクションを描いてみましょうよ。これまでとはまったく異なる社会や、人とのかかわり方を想像してみるのです。そして、国って何だろう、国家って何だろう、と問いかけてみましょう。もしも、そんなふうにソーシャル・フィクションが描けたら、きっと社会はそこに向かって変わっていくはずです。
思い描いたことは実現する。思い描かなければ決して実現しない。だからまずは想像してみること、そして実現に向けて進んでいくこと。それこそが挑戦です!

◆ 全く同感。心底共感する。