先日、俳優カーク・ダグラス死去のニュースが報じられた。
カーク・ダグラスといえば、映画『スパルタカス』(1960年アメリカ)の総指揮者・主演者である。
このこと以外、僕は何も知らないのだが、このニュースに接してブログ記事を書いてみたいと思った。
*映画『スパルタカス』・・・古代ローマ時代に起こった奴隷たちの反乱(スパルタクスの乱)を題材にしたフィクション。スパルタクス(スパルタカス)は実在の人物で抗議の蜂起を起こした剣闘士奴隷。
『スパルタカス』は世界史の授業で、教材として使っていた映画の1つ。
3時間を超える作品を40分程度に編集した映像を、「解説」や「問いかけ」を挟みながら見せていくと生徒たちは古代ローマの奴隷制社会を具体的に思い描けるようになり、知りたいことや疑問に思うことを心に思い浮かべるようになる。
社会のしくみや人間の生き方にも目を向ける。
1つのクライマックスは団結して善戦したスパルタクスたち奴隷軍がローマ軍に敗れた場面だ。
ローマ軍将軍(政治家)クラッススが生き残った奴隷たちに命じる。
「スパルタクスがどこにいるか指し示せ。ならば、お前たち全員の命を助けてやる。さもなくば全員、磔刑(はりつけの刑)だ」
公開の場で少しずつ衰えながら死んでいく磔刑は極めて残酷だ。クラッススは団結した奴隷たちを分断しようとしたのだ。
これがその有名な場面(2分15秒)。
◆ I'm Spartacus - Spartacus (8/10) Movie CLIP (1960) HD
その時の奴隷たちの行動にクラッススは恐怖を感じる。
奴隷たちは団結を崩さなかったのだ。
いつ、どこの世でも、権力者は民衆の団結を恐れ、常に分断を図る。
権力者が恐れるのは団結されることなのである。
だが、その結果、奴隷たち全員が磔刑となる。
悲劇だ。
視聴後、生徒に問いかける。
「スパルタクスたちが蜂起したことは無駄だったのだろうか?」
世界史としての解答例はこうだ。
「この後、奴隷の待遇が改善され、また、古代ローマにおける奴隷制社会崩壊の要因の1つとなった。(だから無駄ではなかった)」
だが、スパルタクスたちにとって悲劇であることに変わりはない(戦死したローマ軍兵士たちも)。
今なら、こう問いかけるだろう。
「スパルタクスたちが死なないで済む方法はなかっただろうか?」
グループを作ってあれやこれやと話し合ってもらうと面白いと思うのだけど...