カシコレラ

都立高校教員を早期退職し、「人生は実験だ」を合言葉に連れ合いと二人で信州に移住。 さて、農・DIY・お金稼ぎの経験の無かった凡人が「真に」持続可能な自給的暮らしを愉しみながらどこまで実現できるのだろうか?

早期に移住を実現するためのアイデア ~Essencial houseという概念

自給的な暮らしを望む首都圏に住む若いご家族が地方に空き家物件を探しているという投稿を拝読した。この投稿に対して多くの方が有益な情報を提供しているのを見て、人と人との心あるつながりの温かさ、有難さ、大切さを改めて痛感した。きっとこの若いご家族の希望は叶えられるだろう。

この家族に限らず、このような希望を持つ多くの人が移住を実現して幸せな生活を築いて欲しいと心から思う。このことについてはさまざまな思いがあるのだがそれは割愛する。

希望通りの地域や人とのつながりができたにもかかわらず、自分が思い描く条件に合致する空き家物件が見つからない場合、希望する条件のハードルを下げて早期に移住を実現することを検討する必要に迫られることもある。ここでは、そうした際に参考になるかもしれない2つのアイデアを書いてみたい。

1.エッセンシャル・ハウスという考え

自分たちの希望する状態よりも規模の大きな改修が必要な物件しかない場合。
(1)物件全体を改修するという発想を捨てて、まずは、必要不可欠な部分のみ改修して生活を始めることをイメージする。
(2)生きる上で必要最低限のみの機能を持つ小屋を建てて、そこから生活をはじめるという発想を持つ。

(1)が可能であればそれに越したことはない。ここでは(2)について説明したい。
私は上記(2)のような「生きる上で必要最低限のみの機能を持つ小屋」をエッセンシャル・ハウス(英:Essential house エスペラント:Esenca domo)と命名した。
私が考えたEssencial houseという概念、および、価値・利点をまとめてみる。

 ◆ Essencial houseという概念、および、価値・利点

〈概念〉
風雨・寒さ・暑さ・強い陽射し等から身を守る。眠る。最低限の調理をして食べる。ほっと一息つく。緊急時の排泄。このような生きていくために不可欠な最小限の機能を果たす小屋のこと。物品の収納・入浴・排泄・日常の調理など小屋に収まりきらない機能は、母屋および屋外空間を利用して生活することを前提とする。

*例えば、日常の調理は、改修されていない母屋内キッチン、あるいは小屋の周囲に設けた野外キッチンスペースを利用する(写真参照)。トイレは野外のコンポストトイレ(循環型トイレ)を、風呂は野外に設置した五右衛門風呂や近隣の温泉等を利用する。荷物等を母屋に収納すれば小さな小屋でも案外不便なく生活できると私は考えている。

*Tainy houseという概念との相違点
Tainy houseには、その小屋で生活を完結させるのが望ましい、あるいは、生活上のより多くの機能を果たせるものが好ましいというイメージがある。Essencial houseは、生きていくために不可欠な「最小限の機能」のみを備えるものとして設計されたもの。
(屋外キッチンのイメージ:「小屋入門2」より)

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(最低限の調理スペースのイメージ 灯油コンロを持ち込むことも可能)

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〈価値・利点〉

私たち夫婦は、現在の住居の敷地内に、中古のアルミ製の保冷タイプのコンテナ(4トン車用:およそ2m×2m×6m、約8畳)を改造した小屋を設置し、当面は「離れ」として多目的に利用しつつ、将来的には現在の住居が老朽化して大規模改修が必要になった後にも生活できる「Happy shelter 最後の砦」として利用することを真剣に検討し、準備をすすめていた。アルミ製の保冷タイプのコンテナ利用を検討したのは、素人でも短期間で加工でき、安価で建設が可能だと考えたからである。

このアイデアは非電化工房主宰者で発明家の藤村靖之さんの提唱である(藤村靖之『自立力を磨く』)。那須の非電化工房にはこのタイプの2軒のコンテナハウスがあり、私は現地に見学に訪れ、宿泊した。現在は、「住み込み弟子」の男性が実際にそこで生活をしている。

・非電化工房のコンテナハウス(現地を訪れた際のブログ記事)
https://kasikorera2017.hatenablog.com/entry/2021/03/09/213516

しかし、無垢材で壁や床をつくり、漆喰で内装仕上げをしたとしても、内部をケミカルな物質に囲まれる住居になるため、「最後の砦」にするには健康上ふさわしくない可能性があると考えて、最終的には、建設に労力も時間もかかる有機素材の高断熱小屋を建てることをめざすことに軌道修正した。
「最後の砦」ではなく、「最初の砦」として一時期利用し、その後は別の用途でその小屋を利用するのであれば、アルミ製コンテナ利用の検討の価値はあるかもしれない。

また、コンテナを利用しないで小屋を作るという方法もある。すべてセルフビルドで行う必要はなく、ある程度の部分はお金を出して業者に建設してもらう道、地域でできた縁の仲間と一緒に作るという道もあるだろう。
いずれにせよ、理想の状態の空き家物件を探すのが困難な状況の中で早期に移住を実現する手段としては、以上のような発想をしてみる価値はあるかもしれない。

(コンテナハウス 藤村靖之さんデザイン)

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2.施設等の不十分さを解消するアイデア

とりあえず、キーワードのみ列挙する。

・調理器具:灯油コンロ、ロケットストーブ、太陽熱調理器
・発電:ミニ太陽光発電システム(テンダー著『わがや電力』、藤野電力)
・温水システム:旧タイプの太陽熱温水器を無償または安価で手に入れて地上に設置
・トイレ:コンポストトイレ(循環型トイレ)には本格的なものから極めて簡単なものまで多様。もっとも簡単なものは「かえるくん」という災害時用のトイレを利用するもの。私の知人Aさんが活用している。
野外で用を足すことを推奨する人もいるし、その人に共感した知人Bさんはそれを実践している。
・雨水利用:飲料水にする方法もある。

(主な参考文献等)
藤村靖之 自立力を磨く
・小屋入門2(地球丸)
・テンダー わがや電力
・藤野電力
・「廃材エコヴィレッジゆるゆる」
https://kasikorera2017.hatenablog.com/entry/2019/11/30/193210