カシコレラ

高校教員を早期退職。「人生は実験だ」を合言葉に妻と信州に移住。 農・DIY・お金稼ぎの経験皆無の凡人が自給的暮らしを探求中。気ままにあれやこれや投稿。ひととひと、農と環境と教育をつなぐ「虹色ラボ」、真に持続可能な暮らしと生き方研究所「いっさ」主宰。

貧富の格差(ちょっとかため)

■国際NGOオックスファムが貧富の格差を告発し、各国政府に対して格差解消を要求。

 

 国際NGOオックスファムは、世界で最も裕福な26人が世界の低所得38億人分(世界人口の約半分)の総資産と同額の富を握っているとの報告書『公共の利益か私有財産か』を発表した(AFP、2019年1月21日)。

※ http://www.afpbb.com/articles/-/3207339

 

この報告書によると、資産額10億ドル(約1100億円)以上の富裕層の人々が世界各地に保有する資産の総額は、2018年、毎日25億ドル(約2700億円)ずつ増加した(注)。その一方で、世界人口のうち経済的に恵まれない半数に相当する38億人の資産総額は、昨年、11%減少した。

 

注:この報告書によれば、例えば、世界一の富豪である米アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の創業者ジェフ・ベゾス氏の資産は、昨年、1120億ドル(約12兆2800億円)へと増え、ベゾス氏の総資産のわずか1%が人口1億500万人のエチオピアの保健医療予算全額に匹敵するとしている。

 

報告書は、各国政府が保健医療や教育といった公共サービスに割く予算を削減する一方で、富裕層に対する税制優遇を続け、経済格差をさらに深刻化させていると警告した。そして、各国の政府に対して、富裕層や大企業に課税し、「底辺への競争」をやめるよう強く要求。最富裕層がたった0.5%多く税金を払えば、「現在教育を受けられずにいる子どもたち2億6200万人に教育を授け、330万人の命を救えるだけの保健医療を提供しても、余りある資金を確保できる」と指摘している。

 

IWJ(インターナショナル・ウェブ・ジャーナル)によると、オックスファムの報告書『公共の利益か私有財産か』で示された現実は、次のとおり。

 

  1. 世界の富裕層の総資産は去年1年だけで9000億ドル(約99兆円)増加した。1日あたりに換算すると25億ドル(約2750億円)増えたことになる。

2.サハラ以南のアフリカで最貧困層が増加している。34億人(人類の約半数)がほとんど最貧困状態を抜け出せておらず、1日5ドル5セント(約605円)未満で生活している。

  1. 総資産に占める割合を男女で比較すると男性は女性の1.5倍以上の資産を所有している。
  2. 13か国の最新研究から分かったことは、貧富の格差は69%が教育と医療への投資で解消された。
  3. 最富裕層1%の資産にたった0.5%の追加課税を課すだけで、学校に行けない2億6200万人の子供たち全員に教育を施すことができるばかりか、330万人の命を救う医療を提供できる。

 

※ PUBLIUC GOOD OR PRIVATE WEALTH?(Oxfam pp.8-9)

https://www.oxfam.org.nz/sites/default/files/reports/Public%20Good%20or%20Private%20Wealth%20-%20Oxfam%202019%20-%20Full%20Report.pdf

 

また、オックスファムは、貧富の格差を削減するために、3つの提言を行っている(IWJによる)。

 

  1. 女性や少女も対象にした無償医療、無償教育、その他の公共サービスを提供すること。
  2. 女性が毎日家族と家のために費やしている無報酬の何百万時間を軽減することで女性の時間を解放すること。
  3. 富裕な個人や企業の税逃れを終わりにすること。