大野英子著『あしたてんきになーれ』をぺらりと開いた。
大野さんが、転任先で障碍児学級担任になり、まず、学級のための花壇と畑を作った箇所だった。
畑に最初に植えたのが赤かぶ。ひと月もたたないうちに赤い根っこがぷっくりとふくらんだ。するっと抜いた赤かぶを水で洗って太陽にかざすと、宝物のように光っていた。
「赤かぶ、まるでじぶんでひかっているみたいだ」と子どもたち。
子どもたちが作文を書く。
あかいかぶが
たいようにむかってひかっている。
ぼくのまいた あかいかぶ
みみにおっつけたら
すーすーっていきをしていた。
ふじお
おれの赤かぶ
たいようがあったかい光で
まるくしてくれた。
まるいたいようの光がかたまって
まあるくしてくれた
あきとし
あ、赤かぶ生きている。
ぼくがにぎったら
手の中で
ドッキン ドッキンうごいている。
一ろう
再度、ペらりと開いた。
飛行機と鳩の挿絵のあるページだった。
一ろうくんが自分の粘土の作品に添えて、おだやかな笑顔で書いた作文。
平和のはと
ねん土でひこうきを作った。
うまくできたなあ、
つくえの上においてみていたら
かおちゃんがよろけて手をついた。
ぼくのねんどが
ぐしゃっとつぶれてしまった。
ひこうきが
平和のはとに へんしんした。
はとの方がずっといいよ。
しっぽの形をなおしてやった。
四年 一郎
一郎くんのこの作文の前には、自民党が大幅に議席を増やしたことを喜び、戦争がはじめられるようになり景気もよくなるとはしゃぐ女性自民党支持者のこと、それとは対照的に、「みんながしあわせになるように」って選挙に行くんだと子どもに話す男性保護者のことが書かれている。