『週刊金曜日』4/1号で興味深かった記事。平和学の研究者であり、実践者である君島東彦(きみじま あきひこ)・立命館大学教授へのインタヴュー記事。日本の状況を含めた現状の問題点、非武装非暴力の抵抗、日本国憲法の平和主義。世界の平和のために私たち市民が今何ができるかを考えるヒントが満載だった。特に印象に残ったことを簡単にまとめてみた。
○ ウクライナ・ゼレンスキー大統領の国会演説について
「日本の官僚の作文ではないか?」という印象を持った。
○ 今、一番懸念していること
ロシアと一体であったときも含めて、ウクライナは多民族国家で多文化共生をめざすべきなのに、ロシアとの戦争の中でロシア民族を排除し、ウクライナ民族主義に純化していく傾向が強いこと。
○ 戦時における非武装非暴力の抵抗
戦時においても、人命保障に最も有効的で現実的なのは、非武装非暴力の抵抗であることは、自分自身の実体験や歴史的事実(*)を通して学んできたことである。
*例えば、第二次世界大戦のナチスの占領に対するオランダ、デンマーク、ノルウェー等での抵抗の事例
○ 日本ではウクライナの武装抵抗を支持する動きが強まっていることについて
ロシアのウクライナ侵攻は国際法違反の侵略であることは事実であり、それを前提としなければならない。しかし、改憲・軍備拡大をめざす日本の保守派が、この戦争をフル活用して世論を誘導していることは大きな問題である。
○ 市民に何ができるか。
外交主体というのは今や、政府だけではなく、市民社会もNGOもその担い手であり、私たち市民にできることは実は多い。その一例として、国際NGO「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ:略称GPPAC (ジーパック)」がある。
○ 日本国憲法の平和主義の考え方の端的な表現は「殺すな、殺されるな」(故・小田実の明快なことば)。
○ 日本国憲法の平和主義の重要な視点は、次の2つ。
(1)憲法9条に示されている「しない平和主義」(戦争をしないと宣言している)
(2)憲法前文に示されている「する平和主義」(市民による平和構築の国際貢献を誓っている)
(参考資料)
◆市民力による防衛、非暴力不服従行動事例にかんする文献
・ジーン・シャープ(米国の政治学者)『市民力による防衛:軍事力に頼らない社会』(法政大学出版局)
https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-60344-0.html
・ジーン・シャープ『独裁体制から民主主義へ』(ちくま学芸文庫)
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480094766/
◆「非暴力平和隊」Nonviolent Peaceforce:略称、NP
出典:「非暴力平和隊・日本」のHP
◆「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ」
Global Partnership for the Prevention of Armed Conflict:略称、GPPAC (ジーパック)
出典:「Peace Boat」のHP
https://peaceboat.org/projects/gppac.html?pj=about
◆ 君島東彦 立命館大学 国際関係学部 国際関係学科 教授
(「立命館大学 研究者学術情報データベース」より)
https://research-db.ritsumei.ac.jp/rithp/k03/resid/S000250