カシコレラ

高校教員を早期退職。「人生は実験だ」を合言葉に妻と信州に移住。 農・DIY・お金稼ぎの経験皆無の凡人が自給的暮らしを探求中。気ままにあれやこれや投稿。ひととひと、農と環境と教育をつなぐ「虹色ラボ」、真に持続可能な暮らしと生き方研究所「いっさ」主宰。

アグロエコロジーをめざす動き

印鑰 智哉(いんやく・ともや)さんの本日のfacebook投稿記事を紹介。

*印鑰 智哉さんのfacebook
https://www.facebook.com/InyakuTomoya
*印鑰 智哉さんプロフィール
http://blog.rederio.jp/about

-----------------------------------
手のひらに乗るわずかな一握りの土の中には地球の人口を超える微生物が存在するという。
その微生物が植物にミネラルを与え、植物は光合成で作った糖分を与える。
この豊かな共生関係が人類を含む地球の生命の多くを支える。

しかし、化学肥料や農薬を使った土壌ではその微生物がほとんど姿を消す。
土壌は死んだ存在となり、崩壊していく。ますます化学肥料や農薬への依存を強める。
土に蓄えられた炭素は放出され、気候変動はさらに酷くなる。
そして農薬や硝酸性窒素を含んだ有害な食は私たちの健康を犯していく。

このシナリオは避けられない、変えることなどできないと思うかもしれない。
自然の力を回復し、環境も健康も回復し、気候変動も収めていくなどというのは夢の夢のように思えるかもしれない。
でも今、それを実現させる大きな動きが世界で生まれている。

インド南部の5000万人の人口を持つアーンドラ・プラデーシュ州は
農家を債務漬けに追い込む化学肥料や農薬を使わずに農地が持つ栄養で育てるアグロエコロジーを進めるために予算を投じている。
すでに今年中に50万人の生産者がそうした農業を実践するようになることと見込まれており、
さらに5年で600万人の生産者が実践できるように計画中である。

こうした動きはアフリカ、ラテンアメリカ、アジアでも拡がっているが、北の国も負けていない。
フランス政府は2025年までに大半の農家がアグロエコロジーを採用できるように研修、サポート、開発・研究に10億ユーロを投入している。
米国でも維持可能な方法で地域で作られた農作物の購入を促すための「よい食の購入計画Good Food Purchasing Program」を進めており、
すでにロサンジェルス、サンフランシスコ、シカゴが採用している。
そしてニューヨークも加わるだろう。
 
日本では、化学肥料や農薬を使わない農業は生産性が落ちる、と強く信じられてしまっているが、
実際に30年かけて米国のRodale研究所で行われた研究では
長期的には逆にアグロエコロジーによる農業生産は
化学肥料・農薬を使う農業よりも
特に単位面積あたりの栄養を得る上では生産性が上回ることが確認されている。
 
インドやフランス、米国で可能なことが日本でできない理由があるだろうか? 
なぜ、日本は次から次へと農薬や遺伝子組み換えをどんどん承認し続け、
マスメディアは報じない、その真逆の動きばかりしていくのだろうか? 
ステマティックに騙されているからだ。
政府、情報機関、大学などの研究機関が1つの方向だけに動くように組まれてしまっているからだ。
システムを変えるためにはシステムを意識しながら変える方法を考えなければならないだろう。

小さなアグロエコロジーをめざす動きが
どうしてこれほどの大きな力を獲得することができるようになったのか、
世界の人たちの実践に学びながら、変えていくことが可能であることは間違いがない。

Agroecology Brings Innovation and Sustainability to Farms Worldwide

https://www.cornucopia.org/2018/07/agroecology-brings-innovation-and-sustainability-to-farms-worldwide/?fbclid=IwAR2g4CeHl3Hj4S3t7CymalXIzmKinReWBnzdYDlO8wsdXqoy8-TT6wSxPJQ

-------------------------------------